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2015 6 14

学校を抜け出して海に行きたいと思った。

私は高校の頃、とにかく学校へ行きたくなかった。
クラスに嫌な事があった訳でも友達が居なかった訳でもなく、とにかく学校へ行きたくなかった。
学校そのものや教師は本当に嫌いだったが、そういった次元でなく学校へ行きたくなかった。
実際多分学校生活のうち五分の一位は学校へ行かなかったと思う。
ジャンプが面白かったから
とか
路面が凍ってて危ないから
とか
別に好きでもなかった芸能人に哀悼の意を示すため
とか
適当な理由で何度も学校を休んだ。
それでもクラスで集まる時には必ずみんな声を掛けてくれるので、最近ほんの少し後悔というか申し訳なさみたいなものを感じでいるが、それはまた別の話。

これは今でもそうなのだが、最初から行きさえしなければ何の後ろめたさも無いのだけれど、途中で抜けるのは気が引ける。
多分、遅刻も欠席も沢山したけど、早退は一度もしていなかった。


学校を抜け出し損ねてしまった。と思った。
ただでさえ取り立てて大きな思い出というか、いわゆる青春というか、そんなものが得られなかった高校生活だったのに。

海へ行きたい。学校を抜け出して海へ行きたい。
砂場に一人で下らない絵を書いて、波にさらわれるのが見たい。
教科書に海藻を挟んで押し海藻が作りたい。
筆箱を浜に埋めて、一日中探したい。
バッグの中にヤドカリを詰めて、困惑する様を撮りたい。
翌日、クラスの人間に「どこ行ってたの?」と聴かれて、磯臭い制服で「別に」と言いたい。

去年の今頃、父親が母と離婚して間もなく別の人と再婚しており、私に腹違いの妹弟がいる事を聴かされた。
翌日の月曜日、今かと海へ出掛け、砂浜に「大陰唇」だの他の人間の書いたハートマークの下に「バ~ミヤン」だの書いて、全力で海に向かって石を投げた。(私からみて四歩先位までしか飛ばなかったが)
ひとしきり海を支配した気持ちになったが、友人が車を持ち、私が豊富な電車賃を持つ今となっては海は近すぎた。
大学生ではもう遅かった。

案外今学校を抜け出して行くべき場所は沼とかなのかもしれない。
どこにあるんだろう、沼。
どんな匂いがするんだろう、沼。